投稿詩 on PQs! - 第1ラウンド-


5月24日開始〜5月31日零時〆切です。(投稿順・タイトルをクリック!)

「虹色地図」 / 「ベルリン」 / 「ロペスの村」 /

「日常生活」 / 「赤色プライオリティー」 /

「豚に捧ぐ/もし俺が神だったら」 / 「エレベータ」 / 「ヒューマンビートが止まらない」 /

「とある人間のぴーな言葉」 / 「小世界」 /


第1週に投稿されたのは、以上の10作品でした。ありがとうございました。


 第1ラウンドバトル成績速報!

25点 モリマサ公 「ベルリン」
24点 にゃんしー 「ロペスの村」
23点 まりっこ 「赤色プライオリティー」
22点 田村飛鳥 「日常生活」
19点 待子あかね 「エレベータ」
18点 蛾兆ボルカ 「豚に捧ぐ/もし俺が神だったら」
17点 キャベツかじり節 「ヒューマンビートが止まらない」
14点 やや 「小世界」
13点 そん 「とある人間のぴーな言葉」
8点 アザキ 「虹色地図」


 審査員コメントと得点分布


10名の皆様、ありがとうございました! 今後のご活躍も期待しています(すべて敬称略)。



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小世界


赤身の鮮やかさ

脂は鈍った光を返す

きゅうりの断面の瑞々しさ

パプリカの目の冴える色

レタスの千切れる音

魚の焼ける匂い

チーズとコンソメは動物の匂いがする



それが食事



いつか生きていたものを
食べるということ

私の命は他の命を吸いとることによって
今を存在しているということ

本能から離れた頭でも
まだ自然の摂理を
みんなと同じように
理解しているということ



食べること

生きること

食べること

いつかは死ぬこと

食べること

私の中の小世界



私は色んなものを吸収して
いつかは色んなものに吸収される



世界と同じでありたい

食べること


それは大まかに世界と似ている

  題「小世界」筆:やや [web]  


とある人間のぴーな言葉


ぴーぴーぴー

ぽーぽーぽー

ゆでたまごを割ろうとして

ゆでたまごが割れない

割れない

なぜ

摩訶不思議なこともあるもんですね

ゆでたまごのくせに

レンガの壁

赤茶色の素焼きのレンガ

45度欠けているそんなレンガも混じってる

生たまご男爵が話しかけてきたよ

あんた生卵だろう

オレの目はごまかせんぜよ!

わたしは生卵ではない

二枚目男前なんだ

なんだよそのベルトは

違うこれはマフラーだ

赤いマフラーが風になびくと

まふまふという音が鼓膜に焼き付く

ぴーぴーぴー

ぽーぽーぽー

それ「ピー」だから

警戒音が風になるよ

ご飯がたけました

だからレンガの壁を蹴り飛ばすと

欠陥工事でかっかしたぼくの蹴りが

まるで血管が2メートルと3ミリ前方後円墳にむけて歩き出したみたいに

生卵男 壁から

フォーリンラブ

地面と一度きりの深い深いキス

だからって川魚に文句は言えまい

そんな言葉が割れた生卵は黄身と白身の間に隠していた

だから

ぽーぽーぽー

蒸気で無視された白ご飯

醤油はたまごかけご飯専用

ぴーぴーぴー

まるまる専用のまるまるは

ぴーぴーぴー

赤いくんの水性ぺんでくずれたレンガになぐり書きする

うんぴーぴーぴーってなるから

だからぼくはラッキーだったんだって思い込むんだ

  題「とある人間のぴーな言葉」筆:そん 


ヒューマンビートがとまらない


胸の奥から掻き出してきた重低音が
いつになったら世界平和に繋がるのだろうか

触る物を皆傷物にする
獣は今日も獲物を狙う

上から下から新燃料実験する
科学は偉大
砂漠は卑猥

トイレの中でする事が今や環境破壊になる
昔は延々と生存ローテーションを担っていたのに
戦争と革命が何回か過ぎた後は
大地の潤いを変えていった

ただ生きているだけでも
こんなに変態を重ねている

右に歩み左に首向け上に跳んだら下に落下
後ろはダメダメ前からだけで

頭の先から出てきた情熱的波動が
足元の花を見せてくれる

  題「ヒューマンビートが止まらない」筆:キャベツかじり節  


エレベータ


行きたいところで降りればいいわ
あたしは いつまでも乗っているから


503号室に今日もやってくるあなたは
薄ら笑いを浮かべている
薄ら白い顔になっている
鞄から大事そうに出してみせるものだから
いったいなにかしら 怯えてみせる

この間 撮ってもらった写真だよ
それは 木枯らし吹いている季節のこと
梅田のHEP FIVEの観覧車で降りたとき
綺麗なお姉さんに写してもらった写真ね
ふたりとも
恥ずかしそうな顔して写っている

女の視線は 一途に隣にいる男を見ている
女の視線は 一途に隣にいる男を見ていた


好きかな そういってあなたは
チーズ味のポテトチップスを差し出した
いつも あたしの気に入るようなものを
持ってきてくれる だからお礼に
台所へ行って カシスオレンジをつくる

503号室に今日もやってくるあなたに
もう 来ないで
今日こそは今日こそは告げようと
毛先をくるくるくるとねじってみるものの
ロマンス気取り屋の眼差しを見るたびに
今日もまた

行きたいところがあるのは知っているわ
肩まで届く茶色い髪した人訪ねていきたい
ひどく酔った夜 あなた告げてくれた
早くあいたいんだ

うまくいくといいわね
そうだね 遠距離恋愛なんだけどね

あなたなら きっとうまくいくわ


行きたいところで降りればいいわ
そう告げる前に
3階で降りるあなたを
エレベータホールに映し出されている映像
知らせなくてもいいのに知らせてくれる
コンビニの袋に 缶チューハイ2本詰めて

あたしはこれから503号室に帰るところ
もう あなたの来ない部屋

エレベータホールに映し出されている映像
3階で降りるあなたを迎えに来た人まで
こちらに 知らせてくれる

エレベータにふたりきりになった日
たった1度あったことを浮かべてみる

やわらかな眼差しをしたのは 精一杯の
あなたなりのやさしさだったのかしら

行きたいところで降りればいいわ
そう あたしに言わせないために
とびっきりのやわらかな眼差しくれたのね


恋をすることを 今でも恐れてはいない
スターバックスであなたを待つように
今日もだれかを待っている

天狗という魚の美味しい居酒屋で
あなたと笑いあうように
今日もだれかと騒いでいる

  題「エレベータ」筆:待子あかね( 白昼社より詩集「スカイツリー」 昨秋、発行) [web]  


豚に捧ぐ/もし俺が神だったら


<「豚由来新型インフルエンザで人類のパンディミックが起こる、という可能性をWHOが真剣に懸念して、警戒水準をフェーズ4に 上げた夜、私は、豚に捧ぐ詩を書こうと思った。豚によって滅びる人類、ということは、どういうことなのだろう。と、私は 思っていたのだった。
インフルエンザのようなRNAウイルスと我々真核生物の付き合いは長く、動物のゲノムの中には、少なくとも数千個のレトロウイルスがいると言われている。入り込むのに使った配列を入れれば、我々のDNAの35%が外来生物由来で、およそ14%がレトロウイルス本体である。
そんな我々が、我々人類が作出した家畜によって滅びる。それはどういうことなのだろう。と私は思うのだった。 >



もし来世で俺が神だったら
人間は全部、ぶっ殺す!
選ばれた民とか、正しいヒトとか、
寝ぼけたこと言ってんじゃねえ!
ふざけんな!夢みんな!なめんな!
とにかく全部だ!
皆殺しにする!

人間が全部死んだら、
それだけで大体、パラダイスだ。

鳥は歌い、虫は飛ぶ。
カエルも滅亡しないし、
ベンガル虎はこそこそしないし、
白熊は住む場所がなくなったりしない。

イボニシのメスにペニスが生えたりしないし、
ミツバチはちゃんと巣に帰るし、
ジュゴンはモーターボートに轢かれないし、
海鳥が油にまみれて溺死したりしない。

とりあえず人間は全部殺す!
話はそれからだ。

でも俺は人類が滅んだぐらいじゃ満足しない。
もっとやるね。
差別する。
とりあえず豚をひいきする。
可愛いから。
なにが「食べなさい。これはわたしの肉だ。」だ!
人間の分際で!
豚はシャレにならないんだよ。
マジで肉なんだよ。
しかも可愛いし。
ピンクだったり、白かったり、黒かったりするし。

豚の天敵は全部殺す。
狼とか絶滅させる。
イノシシも縄張りを奪い合うから殺す。
豚の寄生虫も病原菌も全部殺す。

世界は豚のパラダイスだ。
豚は平和にゴロゴロしてる。
でも俺はそれだけじゃ満足しないね。
豚に神話を与える。
神は自分の姿に似せて豚を創造したんだって信じさせる。
遺伝子をいじって、
女の豚をエロティックにする。
発情期は一年中にする。
産めよ!増えよ!地に充ちよ!だ!
麻薬を教える。
避妊を教える。
売春と賭博を教える。

でも俺はそれだけじゃ満足しないね。
豚に吝嗇と猜疑心と傲慢を与える。
嘘と裏切りと怨念を教える。
原子核物理学と、分子生物学を教える。
第6の力と、宇宙創造の謎と、生命誕生の秘密を教える。
戦争と虐殺と環境破壊のやり方を教える。
滅亡の運命と、絶望の悲しみを与える。


そうして豚が滅んでしまった宇宙で、俺は思うのさ。
やっぱ人間って面白かったなって。
豚はきっと、そんな風に滅びないだろう。
豚は怨念なんか持たない。
豚は分子生物学なんか使わないし、核融合も反物質もやらないだろう。
戦争もしないかもしれない。
滅びるときも、豚はきっと穏やかで、
誇りたかく滅んでいくのだろう。

くだらねえやつら、って俺は思うのさ。

いうまでもないけどさ
そんな俺より
豚のほうが偉いんだよ。
つうか俺は豚のほうが好きなんだよ!

  題「豚に捧ぐ/もし俺が神だったら」筆:蛾兆ボルカ  [web]  


赤色プライオリティー


遠くに灯る
赤信号を見つめる子供たちは
夕陽だ

両手を透かそうとする

大人たちは
如何も
赤と青の区別がつかないらしく
御構いなしに
足早に
通り過ぎていく

耳に挟まった海は
水平線をも真っ逆様

指に付着した悲しみは
今にも狂って動き出しそう

明日という塊を
ぽちゃん

放り込み
私は人生を自炊する

  題「赤色プライオリティー」筆:まりっこ  [web]  


日常生活


ママチャリで駆け上がる豊里大橋の歩道に
失踪する日常を見つけては溜め息
淀川河川敷に駐車場が有ることを知っても
損得勘定にはならないので
停まった車が並ぶ画を下に
流れる車が行き交う画を隣に
効き難くなった右ブレーキを握り締めて
坂を下るママチャリ、橋の終わり

幾つものシを跨いだ歴史の土台に
何本も通る地下鉄
駆け込み乗車をして「セーフ」と笑う人の
馬鹿さ加減を皆は素通りしている
見知らぬ他人は皆ポケットにナイフを持っている
被害妄想が得意になった21世紀の現代人
わたしのバッグにはなけなしのお金が入った財布と
フルメイクが出来るポーチそれから携帯電話
終点の駅で降りてすぐのライブハウスで本を広げ
ほそぼそとシを辿るとある昼下がりに
わたしは一つの命を忘れる

良くも悪くも君のまんまだ
暫く会っていない人、何か大きな理由が無ければ
会うことの無い人、
シは僅かな出会いとたくさんの別れを齎した
義理も無ければ情けも無いそんな人付き合いはもう
必要無い
妬みと蔑みと憐みを露にした西日本の小さな世界は
何となく居心地が悪かったんだ
単に被害妄想の蓄積かもしれないけれど
西は酷い、と言った人の言葉が忘れられなくて
これだから東高西低なんだよ、と言い返せないわたしも
実は物凄く虫けらなのだけれど
シをシと捉えていないのは寧ろ、わたしで

シに見放されてシに向かっているのだと勘違いをして
シの集まりをギリギリのボーダーで彩らせてみました
血色が悪い淀川の水を眺めながら
暇で仕方のなかった今日の仕事を忘れながら
額をさらけ出して疾走するママチャリ
軋む音がうるさい左ブレーキを小刻みに掛けて
坂を下るママチャリ、端で終わり

12階から眺める大橋は
なんてもろい頚動脈なのだろう
寸断して関係を切ったなら
君は、それでも君で居られるだろうか
わたしは、それでもわたしで居られるだろう
右肩に留まる怠惰の乳酸をほぐしていると
曇った未来の窓を明るくする人の声がして
鈍い音が相変わらず右肩では続いているけれど
12階から眺める西日は
なんて清々しい希望なのだろう
輪郭がぼやけるほどの明るい未来を
わたしは一つの命に賭ける

  題「日常生活」筆:田村飛鳥  [web]  



ロペスの村


山の奥にアンデス。
川の辺にインダス。

元広島東洋カープ、ロペスの村は。

いろんなロペスがいます。
一生懸命木を切って働くロペスもいれば、
切り株に腰掛けてニンテンドーDSをやるロペスも。

けれど、みんなロペスなんです。


あるときロペスが言いました。
「俺は、魚取るのがうまいあのロペスが好きだ」

自分のことを好きなひとのことを、なんていうんだったっけ?


風が吹くとき、数十人のロペスが同時にふいと振り返ります。
その向こう側、越えて伸びていくひとすじの汗。

ロペスはみんな友達です。


この詩がもしも平和のために書かれたのだとしたら、
明日一緒に、ロペスについてWikipediaで調べよう。

スキップしよう。

  題名「ロペスの村」筆:にゃんしー / 尼崎在住、路上パフォーマーでごんす。[web]  



ベルリン


そして扉の向こう側になにかがあふれている
閉じていた扉をあけるとそこには
透明な顔ばかりがあっちやこっちを向いている
みんなばらばらにどこかにいこうとして
ただ浮かんでいるだけ
あたしもおなじように顔だけになってただよっていてもいいんだよ

笑い声が聞こえてまた扉をあけると
うまれたばかりの声がうようよと床のうえをおおいつくしている
鏡にうつるのは声ばかりで実態がない
実態なんかなくてもいいんだよ

窓からは何本もの虹がのぼりはじめている
いくつあるんだろう
太陽はかすみがかっている
太陽を数えながら声になってもいいんだよ

アスファルトは濡れたまま一日中
分割されていくたくさんの区画に
早送りであたしたちの屋根に色がぬられていく

飛行機の上から放射線状にのびて行くひかりの中心
都市はまだ開発がおくれたまま
いくつもの空き地に草が茂る
東西に区切られた過去を忘れられない

未開の湿地帯をえんえんにわたりつづけて鳥たちが巣をつくり
えさをはこび
抱きしめられたことの無い子供たちが鳴いている
もうやめることなんかできなかった

あたしたちが加速して行きながらいつのまにか泣いている
粒になって落ちながら
あたしたちはまた乾いて揮発して空に戻ってしまう

何枚も写真を撮られていくセカイ
いつか燃えてしまう記憶たちが染み込んで
匂いのしない過去なんてなかった
動画になって切り取られていく記録にも
もう名前なんかつけなくてもいいんだよ

眠っている細い月をいくつもゆらしながらにじんでいく
深い底のない影が一枚になってつながっていく
どこまでも果てしがないことに絶望しなくてもいいんだよ

くらやみの奥に向かう迷路をかべづたいにすすみ
また扉をあける
沈黙したひふのような布のようななにかをかきわけながら
さみしくなんかなくてもいいんだよ

目を閉じるときや開く瞬間に
だれも平等なんかじゃなくてもいいんだよ

重要なことなんかどこにもなかった
知らないことも知っていることも
それが最初でも最後でも

すいこまれていく
なにもかもが次の扉のむこうがわに
むこうがわにももうなにもかもあふれているのに
すいこまれていく
それは全部今という感覚の現在っていうだけで
意味とかなんてもうあふれてもあふれてなくてもぜんぜん関係ないんだよ


あたしたちが加速して行きながらいつのまにか泣いている
粒になって落ちながら
あたしたちはまた乾いて揮発して空に戻ってしまう

  題「ベルリン」筆:モリマサ公  




虹色地図


さあ地に足を付けて参りましょう
情熱を振りかざし歩くその人
元気よく一歩前進!

さあ立ち上がって参りましょう
誰かに出会うかな?なんだかワクワク!
この先に楽しい事が待っている?

さあ仲間に出会ったなら話しかけてみて
君と僕って似てるの、違うの?
だんだんわかってくるね

さあ君と僕とは友達なんだからさ
時には喧嘩もするけれど
最後にはお互い思いやりだってこと

さあ自分の気持ちちゃんと伝えなくちゃね
それにはまず自分のことを知らなきゃダメさ
君に分かってもらうために考えるんだ

僕は何のために生まれたの?
僕はこれから何をしていくの?
僕の未来って何だっけ?

やがて気付いた僕の夢
こんなこと、あんなことしてみたいな
描いた未来予想図をきっと形にしてみせる

  題「虹色地図」筆:アザキ [web]  



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 それぞれの詩の筆者に著作権は帰属します。

投稿詩 on PQs! 第1週