第一話「星の町」
2010.11.21(Sun)
はい、どーもー。
うたっておどってへんなかお。
尼崎、なぞのおどりこ。
にゃんしーでございます。

ぺこり。

というわけで、始まった、というか始めるわけですけども。
企画「自転車でどこまでも行けるひとが好き!」。
どういう企画かというますと。

僕は毎週、尼崎で路上ライブをやってるんですが、
冬の間はお休みになるわけです。
寒いから!
その間は作品作りなど、することはもちろんあるわけですが、
外に出たり、ライブをしたりしないというのは、
どーもよろしくない。

楽しくない!

というわけで。
尼崎や、西淀の、いろんな面白い場所を巡って
写真を撮ったり、ライブを撮ったり、
しようかという企画でございます。
これは。

第一回目の今回は。
なづけて「星の町」というところに行きました。
行く場所はだいたい、Google Mapで決めます。
この地形、なんか面白そうやな!て思って、行く。
チャリキで。

この場所「星の町」は、前からずっと見たかった場所でした。
どういう場所かというと、
周りを鉄道に区切られて、陸の孤島のごとく周囲から
孤立した町です。

この町は、主に2箇所から出来ています。
1箇所は月の部分、と呼んでいます。
もう1箇所は、星の部分、と呼んでいます。
(勝手に)

月の部分は、鉄道によって月の形に区切られています。
星の部分は、鉄道によって三角形に区切られています。

月と星。
なんとも、素敵な響き。
行くのがいきなり楽しみです。

Google Mapでだいたいの場所のアタリだけつけて
チャリでぺけぺけ行ってきました。


すぐ傍の鉄道に到着です。
列車がでかい音を立てています。


ほら。
手前に鉄道。
向こうに高架鉄道が見えるでしょう。
ここに区切られているのが
今回の目的地のひとつ。
月の町です。


めっちゃ狭いところをくぐるんだって。


1.9mです。
大林素子は入れんかもしれん!


鉄道の下をくぐりぬけて、路地を行きます。
この路地が素敵。
さわやかな風が通りぬけて
草の匂いがぷんとします。
トトロみたい。


月の町は、主に住宅地でした。


月の町は、静かです。
電車の音がたまに響くだけで、
ほかには音が全然しない。
月の上にいるみたい。


そしてのどか。
道路に洗濯物が干してある町は好きです。
公園では、おじいちゃんとおばあちゃんが
おにぎりを食べてました。


鉄道に沿って歩きます。


徐々に工場が増えてきます。


さて、鉄道を越え、
すぐ隣にある星の町に入ろうかと思います。


ふみきりのある鉄道は単線。
貨物線か、何かなんかな?


どこまでもどこまでも
まっすぐに伸びる線路。
こっちはすすきがささやかにゆれていますが、
後ろのほうでは、セイタカアワダチソウが
秋の淡い太陽の光を受けて、黄金色に光っていました。


1.2m!
めっちゃ小さいところを
それこそ腰を曲げて通ります。
通ってるとき、電車が来たら恐いやないか!


おおー。星の町!
工場!!

・・・とか思ってたんですが、
なんかおかしい。
コンビニとかあるし。
やけにハイテクですけども(00;

実は、ここは星の町ではなかったです。
線路に沿って歩いていると
方向感覚が無くなって間違えたのでした。

素敵な町というのは
得てしてなかなか辿りつかないものだから
それでいいじゃない?
(地図を持ってこなかった不出来という説もある)


ほうぼう歩きまわって、
やっとそれらしき入り口に到着。


この公園だけ、覚えてた。
この公園を目印に来たので。
星の町、到着です。


公園にも、秋が訪れていました。
色のついた落葉が地面に広がっています。


野球場があって、試合が行われてました。
ちゃんと審判もいて、本格的!

実は、まだこの星の町を地図でしか知らなかったときに
ここの野球場をモチーフにした作品を作っていたのです。
ラノベ風恋愛物語。
よかったら読んでね↓
めんどうだったらスクローール!

「赤いサイドスロー」

小学校の頃に、野球をしてた。

どこかのクラブとか、ましてやシニアとかじゃなくて
フツーの草野球。

学校が終わると、私服に着替えて
めいめいに空き地に集まる。
鉄道に囲まれた、いわゆる死に土地。
わりかし頻繁に走る私鉄の音が
試合前のキャッチボールにリズムを刻む。

試合は、すぐ近くの西中vsうちの南中。
メンバーはいつもぎりぎりで、
だいたい9人対9人の固定メンバー。

小学生にしてはガタイがよく
左利きだった僕は
南中の4番を任された。

巨人の小笠原をモチーフにしたフォームで
おもいきし強振。
それだけ。
少々芯を外しても、力で持ってった打球は
右中間を軽々バウンドで越えて
はるか見えなくなった。

どうしても敵わないと思った
西中のピッチャーがいた。

人数が揃わなかった回、たった1回だけやってきた
そいつは初見、赤いクロックスが印象的だった。

小さく足を挙げると、ムチのようにしなる手で
真横から速球を投げてみせた。

見たこともないような、速い鋭い球。
右打者にとっては背中から球が出てくるから
まるで手も足も出ない。
凡打の山が積み上がる。

「左(で打つの)はお前だけやろ。なんとかしてくれ」

みんなが半泣き顔でそう言う。

1点ビハインドで迎えた最終回裏2アウト
フォアボールで出たランナーを1塁に置いて
最後の勝負。

ホームランが出れば、逆転サヨナラ勝利。

目が慣れてきたのか、バットを短めに持ったのがよかったのか、
初球をいきなりハードヒットした。
1塁方向にグラウンダーで飛んで、ファウル。
外角低めのボールを挟んで、3球目。
甘く入った高めを、叩きつけるように振りぬいた。
ライト方向にラインドライブで抜けて、
木々を越えて見えなくなった。

「ファウル?ホームラン?」

僕らの試合は、打ったヤツのセルフジャッジだった。
南中の期待のこもった目、西中の困惑のこもった目を向けられ、
僕は言った。

「ファウルや」

4球目。
赤いクロックスが、今までよりすこし高く上がったように感じた。
内角にクロスに切り込んでくる球を目がけ思い切りスイングすると、
球は逃げるように落ちた。

変化球、シンカーだった。

「ゲームセット!」

わあっとあがった歓声が静まるのを待って、
話しかけた。

「おい」

お前すげーぞ、とか言おうと思ったけど、言えなかった。

「3球目な。ホームランやったぞ。俺の勝ちや」

そいつは、振り向かなかったから、言葉を継いだ。

「名前、なんていうん?」

「…カナコ、いうねん」

女子やったんか?
振り返らず、そのまま歩いていく。
あわてて言葉をかける。

「また、会える?」

「いつもは、ソフトボールの試合があるから」

夕暮れにとけこむように
赤いクロックスが歩いていく。

逃げるようなシンカー、打てへんかったな。
空振りしたときの、いやな惰性と
振り切ったときの、突き抜けるような爽快感が
遠くまで広がっていく。

快速電車のひときわ大きい走行音が
地面を揺らす。
やまない心臓の音。
照らされて、一番星が小さく赤くまたたいた。
はいー。ありがとうっ


日時計がありました。
時間はちょうど12時過ぎやったから、合ってる!


小さい公園ですが、楽しげです。


鉄道の向こうには、あの看板が。
これを見ると、この町がどの場所か
分かるひとには分かるかもしれません。


星の町には、工場がいっぱいありました。
家は全然なかったかな。
工場兼住居、みたいなのはあったけど。


工場の町だから、日曜日は静かです。
ひとも殆どいませんでした。
動いている工場もあって、たまに機械音、それから
やっぱり鉄道の音が聞こえてきました。


出口です。
こっちは、踏み切り通らずに出られるんやね。
便利。


星の町は、とっても小さな町でした。
そこには、ほとんど工場と、野球場しかありませんでした。

けれど、素敵な景色がいっぱいありました。
普通に生活してたら、通り過ぎてしまいそうな景色です。
ちょっとだけ立ち止まってみる。
目を開く。耳をすませる。
鼻をくんくんさせて、くっと息を吸い込んで
そこにあるものに、触れてみたり。

鉄道に囲まれている町だから、不便だと思います。
けれど、だからこそこういう町が生まれたんだろうって。
小さな元気があふれている、三角形の、
きらきら輝く町です。


でー。
歌ったった!
作品の「いちばんぼし」を歌ったった!
この町に合うと思ったから!

聞けー!

「いちばんぼし」

いちばんぼしみぃつけた
それがまぼろしだって、かまわない

そらをみてると
ねむくなるのさ

ふしぎなゆめみてる
かわいいひとになる

ほしがみえたら
こいにおちよう

しずかなキスをする
やさしいひとになる

ふたりのなみだ
ながれてきえた

おれとおまえ

いっしょにおどる

いちばんぼしみぃつけた
それがまぼろしだって、かまわない
ぎゅっとにぎったてのひらの
いたみをずっとわすれない


つきのなかには
きみがいたのさ

おおきなみみゆらす
ちいさなめがひかる

にぼしあげたら
きみはこばんだ

つめたいかぜがふく
ふりむくそらをみる

つきがおちたら
きみとあいたい

ねことうさぎ

いっしょにおどる

いちばんぼしみぃつけた
それがともだちだって、かまわない
会いたいきもちがふくらんで
やさしくなれたらメールする


いちばんぼしを
みんなでさがそう

もしも見つけたら
ぼくはしあわせ

そらをみてたら
かすかにひかる

もしも出会えたら
きみはしあわせ


いちばんぼしみえた
たしかにみえた

かわいいかおしてる
すてきなこえしてる

いちばんぼしひかる
きらきらひかる

やさしいゆめみてる
すてきなうたうたう

そらをてらすよ
あなたのひかり

うちゅうのなか

みんなでおどる

いちばんぼしみぃつけた
それがともだちだったら、うれしいな
おしえてもらったゆめのこと
こころのなかでひかってる

いちばんぼしみぃつけた
それがしあわせだって、かまわない
きらきらかがやくそのえがお
ひかりをずっとわすれない
すんません。
ありがとうございまいた!

来週はどこにいこかな!
ますます素敵な尼崎・西淀の風景を見つけられるよう、
がんばりまっす!

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