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 大好きな本

 みなさまが読んだ同人誌の中で
 いちばん大好きだった、
 そんな本を紹介しています。




まさか、ここでこれに出逢えるなんて…!
タイトルAPIACEREショートストーリーズ
著者なのり/まりも
ブースB-26
紹介文
こちらは無料冊子。いただいたのが申し訳ないくらい、何度も読み返しています。
さらりと読める分量ながら、じっくり物語の後味に浸れる現代もの二篇。

『コハノチカ―最愛の人』 強気な女の子一人称の語り口がくすぐったく心地良い、フォークダンスがテーマの小説。
民族舞踊を扱ったお話、ずっと読みたいと思って探していたので、嬉しくて、頁を捲るのが勿体なくって仕方なかった…。
入門編として申し分のない入りやすさですが、webで本編も読めるようなので、時間を見つけて必ず読みたい。

『Girlsonthestage』 こちらは胸がずくっと痛くなるような、ささやかに尖った、女の子同士の友情を描いたお話。
百合というほど百合ではない、言葉にならない、リアルなこころの動き、このさびしさの配合…! 
なかなか、ちょうどいいところ、をくすぐってくれる小説に出逢えないので。この絶妙さ、大好きです。
紹介者あずみ



傷つきやすいハートが求める淡い恋
タイトルインスタントリプレイ
著者添嶋譲
ブースなし
紹介文
文フリ大阪のガイドなのに、文フリ金沢で出た本でごめんなさい。
でも、優れた作品は舞台を問わないと思うのです。
ケータイがまだなかった頃、傷つきやすいハートを持て余した男子学生が、なんとか背伸びして恋する話です。各作品の末日に舞台が記載されているのですが、中には(現存せず)なんてのもあって、時間の流れを感じると言うか、ある種のもの悲しさを覚えます。良い作品ですよ。
紹介者秋山真琴



僕とクリプととある選択の物語
タイトルハロー、クリプ(新装版)
著者志々真 実子
ブースなし
紹介文
主人公は僕であり、その傍らにある猫のクリプ。クリプは僕にしか見えない存在である。
この僕とクリプ、そして僕が生きる現実が少しずつ重なり、絡みあっていく。
クリプと僕が共有する精神世界の描写は宮沢賢治的モチーフを織り交ぜつつもとても美しく、
時におどろおどろしく迫って来る。
国語の教科書で読む作品のような懐かしさも感じた。
紹介者あづみ伊織



孤独を必要とするひとたちへ
タイトル夜さりどきの化石たち
著者笹木くらげ
ブースなし
紹介文
マリンスノーが降る海の底に喩えられた、雪の夜の中を歩くふたりの少年のおはなし。
静かな文体。ひっそりと静かで、ひとつひとつの表現がとても丁寧に書かれていて、
昼間の慌ただしさや、他人との同調、日常の雑多から隔離されて、
自分の呼吸のペースを思い出せるような時間が、静かに流れていく。
読んでいて、とても心地が良い。
「孤独」を必要とするひとの心に、ひとひら、ひとひら、おりていく、雪のような短編です。
紹介者咲祈



だいじなことはすべて、流れ星のそのむこうに。
タイトル落ち星拾い
著者青川有子/文野華影(共著)
ブースなし
紹介文
 二人の作者様による、《流れ星ハンター》をモチーフにした作品集。
 もし本当に、流れ星に願いを叶える力があったなら――そんなふたつの世界の物語です。

『花と星の歌』(文野華影)
 流れ星を集める少女と、彼女から依頼を受けた修復士の少年。ふたりの旅路を描いたお話です。どこか翻訳された海外の児童文学を読むような味わいと、心温まる旅の軌跡が、弾む気持ちにさせてくれます。ラストの流れ星が降り注ぐ光景の描写は、幻想的で圧巻です。

『フリージアと流れ星の夜』(青川有子)
 流れ星の囁く声が聞こえるため、アルバイトとして《流れ星ハンター》を手伝い少年・ヒョウの物語。心に傷をもった彼が、大切な友人を得、あたたかな日常をすごせるようになる姿が胸に迫ります。有り得た最善の未来より、“いま・ここ”を選び、過去と決別するシーンは何度も読み返しました。自らの罪に向き合い、大事な友達の強さをありのまま信じる彼の言葉は、かなしい夜に光を照らす灯台のように力強いです。
紹介者世津路 章



箱庭の外から聞こえる呼び声は
タイトル夏火
著者キリチヒロ
ブースD-34
紹介文
シリーズ二作目。
血のつながりと、それ以上に強い魂を結び合う絆で結ばれた幼馴染三人はそれぞれクラスが別れ、新しい出会いと共に少しずつ押し寄せてくる波に攫われるように世界を開いていくことを余儀なくされる。
思春期の息苦しさ、焦燥感、目の前を通り過ぎていく景色のハッとするほどの一瞬の煌めき。押し寄せる感情と、箱庭を旅立って尚、色濃いその影を落としていく『箱庭』を旅立って永遠の存在として生きるかつての少女の姿。
色鮮やかで清冽な心の移ろいがいつまでも焼きつくように残ります。
紹介者高梨 來



わたしを越えてわたしになる
タイトル性別越境アンソロジー 兼ネル
著者企画・編集 ネムカケス
ブースなし
紹介文
芸能・見る/読み解く・越える 三つをテーマに、
小説・短歌・評論・漫画などいろいろな「性別越境」が詰まっています。
「性別」というよりは「分類」を取り払ってゆく試みのようにも感じられました。
生まれ持った肉体に対する違和感と戦うための儀式書。
紹介者孤伏澤つたゐ



善き葡萄のような甘さと苦さ
タイトル甘受の才能
著者かかり真魚
ブースE-16
紹介文
短歌、俳句、散文の入った作品集。

短歌や俳句は日本で生まれた短詩系だが、こちらの作品集には
バタイユ、ニーチェ、ビスキュイ、ガラリヤなど、ヨーロッパで生まれた人物、聖書のことばがたくさん使われている。
読んでいると、ヨーロッパの荘厳な教会にいるような気になってくる。
言葉を「吐き出」さずにはいられないという体験がある方に読んでいただきたい一冊です。


ハルシオンに似た石鹸を使ふ夜。後ろから本を読む十代だつた。
紹介者壬生キヨム



日々の真横に佇むフィクションのリアル
タイトルビオトープ
著者こんにゃく
ブースなし
紹介文
6作から成る短編集。それは物語というよりも「日々」そのもので、通勤電車の中で読むわたしの隣にただ、佇んでいた。日々とは時間の流れであり、人が何かを解決したり昇華したりする過程の速度と1日24時間という決まった時間の速度はまったく関係がないのだ。ということを、教わったような気がする。でも確かにそうやって生きてるような気がする。
4番目の、「BrokenYouth」がとても好き。
紹介者きり



もふもふBL。濡れ場もあるよ。
タイトルあくだま
著者壬生キヨム
ブースD-02
紹介文
京都の地下で妖怪たちが天下一武道会的な闇のトーナメントをしてるんですけど、受けの子がマスクマン(人間)で、攻めの子が狐(人間に化けます。ご安心ください)です。
本当です。
二人以外のキャラクターも素敵で、イケメンとか古本屋とか出てきます。
なかなか進まない関係にもきゅもきゅしてください!
紹介者相沢ナナコ



矩形の曼荼羅
タイトルドロップス
著者suwazo
ブースなし
紹介文
短編の宝石箱。ツイッターの140文字から#twinobelを引けば、わずか131文字で構成されたミクロの宇宙に鏤められた720本の物語り。出逢いも、別れも、混沌も、終末も、愛も、生も、死も、あなたも、わたしも、ここに。
紹介者伊織



同人文芸への愛が詰まった一冊。
タイトル絶対移動中vol.13開拓せよ!最前線
著者絶対移動中
ブースなし
紹介文
同人文芸の公募、絶対移動(中)大賞という企画が載っている一冊。掲載された作品もそうだけど、選考記、選評が読んでて楽し過ぎる。あっ、伊藤なむあひさんの名前もあるゾ!
紹介者弍杏



宮沢賢治「オツベルと象」を再解釈した漫画作品。
タイトルオツベルと象
著者萱島裕太
ブースなし
紹介文
なんと地主がドSの女上官に…
一見オタクカルチャーライクでありながら、
資本主義と共産主義の対比にも感じます。
読み終わったあとしばらくぼーっとしてしまいました。
今でも思い返しては意味を考えています。
紹介者赤木杏



華やかなZINE
タイトルWelove zine!vol3
著者ZINE部
ブースF-19
紹介文
『Vol.3なのに4にまつわるZINE』のコンセプトが面白いし全体に華やか♪
紹介者コットン(ジンジンするZINEの編集人)



「必然」の恋愛関係
タイトルツーピース
著者霜月みつか
ブースなし
紹介文
「相手がいなくてはならない関係」を
ぎりぎりの果敢失い筆致で描いた恋愛作品。
男×女、女×女、男×男の3パターンを楽しめる
エンタメ要素の高い一冊となっています。

一定の狂気を保ちながら、希望と絶望がほどよく回される抜群の読み心地。
フェティッシュな描写が充実していて、「好き」という感情がくすぐられる。

エンディングが、とてもいいです。私は、ハッピーエンドだと思います。
紹介者清流キライ



幸せの在り方を描いた物語
タイトルゆきのふるまち
著者くまっこ
ブースなし
紹介文
ひとつの町を舞台に、そこで生きる3人の女性の生き方を描いた、連作短編小説。
辛いことや悲しいことがあっても、不幸なままで終わらない、終わらせない、そんな希望とあたたかさを感じて、切なさと愛しさで胸がいっぱいになります。
物語の世界観が本の表紙や装丁にもあらわれているのも素敵です。
紹介者なな



揺るぎのない耽美。
タイトルビオトープ
著者こんにゃく
ブースなし
紹介文
細かい描写がしっかり入っていて、きゅんとくる描写がたっぷりあって、
想像を膨らませながら読む層にはたまらない一冊だと思います。

象徴的だったのが
「おやますわりでまっていて」
「モーリー」
「BrokenYouth」
の3作品。

特に好きなのは「BrokenYouth」です。

特別なことなんてなんもない
でもなんだか特別になっちゃいそうな
でも何も起こらない
そのぎりぎりの感じがリアルで、どうしようもなく愛おしくて、
あったわけでもない空気感が妙になつかしくて、
すごく大切な気持ちにさせてくれるのです。
紹介者にゃんしー



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